勇気と油断

去年37歳にて転職を決意した時、まず最初にこの年齢で入社させてくれるところなんてあるのだろうか、という疑問だった。転職は30台前半まで、とリアルでもネットでも聞くことは多かったし30台前半までしか年齢が選択出来ない転職サイトもあった。 もう始める前からすでに戦々恐々という状況だったのだが、このまま前の会社に居ても絶対に未来が無いことが分かってしまったため、転職せざるを得ない状況であった。パワハラ上司に評価ロックをされてしまい、消費税対応を完璧に行ったのに最低評価を付けられてしまったからである。一生評価されないでいいのであればそのまま残る選択肢もあるにはあったが、もうなんの仕事でもいい、タクシードライバーでもいいぐらいのもはや捨て身の覚悟で転職を決意したのが去年の7月、ちょうど今から一年前である。

 

今でこそ笑い話というか、転職したい→けど状況的に無理→でも希望もない という思考のループにハマり、会社から帰る途中、駅まで歩いていると足が止まってしまい、動けなくなってしまったことがあった。いくら考えて考え抜いても答えは出ない、行動してみないとなにも変化が無いことは頭では分かっているんだけど、前回の転職活動で苦い思いもあり、つい悪い想像をしてしまっていた。また転職なんて考えるだけでも苦しい、という状況であった。

 

そんなネガティブエンドレスループを抜けたのは勇気ではなく、捨て身しかなかった。人は評価されない状態が続くと勇気は無くなってしまう。また会社でそんな状況を相談出来る人間はあまり居なかった。もういいや、いくら考えても答えは出ないし最悪ホームレスになっても食べていけるや、と捨て身になりお昼休みに「転職する」と決めた時、ふと空を見たら雲の間から光が指してあり、それがお前の進む道だ、と言わんばかりの光景だったのを深く覚えている。

 

そんなピンチな状況であっても持ち前のポジティブというか物事を肯定的に捉えるというか、当てつけというか馬鹿な性格が結局自分を救うことになった。

 

人生のピンチにおいてこそ人の本性は出るが、あの時の自分の状況にてとりあえず会社を辞めて逃げてしまったり、行動を起こす勇気さえなくそのまま苦汁をなめたりするケースは多いのかもしれない。自分がこんな性格なのは両親が愛情を注いで自分を育ててくれたおかげだと思ってる。両親には感謝してもしきれない。

 

最近は勇気を出して失敗した、ということより、勇気を出して本当によかった、と思えることが多い。ということは勇気がまだ少し足りない状況なのかもしれない。体感的には9:1ぐらいで良かったと思えている。

 

一方、自分の価値観だったり今の状況に甘えてしまうことだったり、人はすぐに油断してしまう。勇気と油断のバランスが自分にとって一番重要なことなのかもしれない。